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単発

読書体験と自己との関わり



 大学のAO入試での4000~5000字作文を、時効と思って全文載せます
 タイトルが作文テーマ



 読書とは、私にとって人生のスパイスである。なぜなら、一冊の本さえ手元にあればすぐに、そこに描かれた世界を楽しめるからだ。そのスパイスは、活字で書かれた小説でなければならない。漫画では、登場人物の容姿や風景の様子がはっきりと描写されてしまうため、自由に想像することができないからだ。つまり活字で描かれた設定を、自分なりに映像に変換する、その作業こそがスパイスと表現した所以なのである。
 さらに、小説というジャンルにこだわるのは、ノンフィクションではお目にかかれないような意外性と真実味を含んでいるからだ。
 また、小説といっても、物語の展開が面白いかどうかや、その展開が不自然でないかどうかが重要だ。つまり、あまりにも荒唐無稽な物語には、ノンフィクション以上に共感できないということだ。だからこそ小説を読む時には、展開が一番に気になる。
 ではどんな展開に期待を持てるのかといえば、実は今はまだ漠然としている。しかし、面白いと思える展開を孕んだ小説を挙げることはできる。そこで、敢えて現代作品と古典文学から一作品ずつを挙げて比較することで、期待の持てるような面白い展開とはどういうものかを分析していこうと思う。
 一冊は谷川流『涼宮ハルヒ』シリーズ(角川スニーカー文庫)、もう一冊は紫式部『源氏物語』(今泉忠義訳、講談社学術文庫)を挙げる。どちらも長編作品であり、主人公が男性、そして人間模様を描いているという点で対等な作品だろう。

 まず、『涼宮ハルヒ』シリーズは、平凡な男子高校生である主人公が、一人の少女によってその運命を曲げられてしまうという話である。一見どこにでもあるようなストーリーだ。しかし他の作品と異なるところは、主人公が主人公らしくない立ち位置にあることである。寧ろ主人公のような存在なのは、タイトルにもなっている「涼宮ハルヒ」という「一人の少女」であり、彼女が様々な行動を起こしていくことで物語が展開していく。彼女は「宇宙人や未来人や超能力者を探し出して一緒に遊ぶことを目的としたSOS団」を設立し、気まぐれで適当に団員を集める。集まった四人の団員の一人が主人公なのだが、他の三人はまさしく「宇宙人や未来人や超能力者」であった。この事実を主人公は三人から教えられており、一人事実を知らないハルヒと、彼女に関わる三人に巻き込まれながら、出来事を綴っていく。
「この団の活動でいったい世界のどこがどう盛り上がったのかさっぱり不明。だいたい盛り上がってるのはハルヒただ一人じゃないのかと思うし、その存在意義と活動方針も例によって謎であって、宇宙人と遊んだり未来人を拉致したり超能力者と共闘するというようなことを目的としているらしいのだが、今のところハルヒ的にはそれは成功していない。
 なんせハルヒは宇宙人も未来人も超能力者ともまだ出会っていないと思い込んでるんだからしようがない。親切にもSOS団に所属する俺以外の団員たちの正体を教えてやったというのに事実を信じないのであるから、だからこれはもう俺の責任ではなかろう。(『涼宮ハルヒの溜息』より)」
 このようにハルヒは、宇宙人などと出会いたいと盛り上がってはいるが相当の現実主義者で、主人公が真実を明かしても信じようとしない。呆れながらもそんなハルヒに付き合う主人公の面倒臭そうな語りが、特徴の一つだ。
 一方、『源氏物語』は、光源氏という一人の貴族男性を中心とした恋愛小説である。光源氏が継母と許されざる関係を持ってしまうという、恋愛ドラマなどによくある展開になるが、圧巻なのはその後だ。
「面つきいとらうたげにて、眉のわたりうちけぶり、いはけなくかいやりたる額つき、髪ざし、いみじう美し。ねびゆかむさまゆかしき人かなと目止まり給ふ。さるは、限りなう心を尽くしきこゆる人に、いとよう似奉れるが、まもらるるなりけり、と思ふにも、涙ぞ落つる。(『若紫』原文より)」
 継母・藤壺の宮と関係を持つ前の出来事である。藤壺によく似た少女を見かけた光源氏は、どうしても少女を自分のものにしたくなったのだ。そして、実母のいない少女を誘拐するように引き取ってしまうのである。当時の少女はまだ十歳だった。源氏のこの行為はまさに、幼女誘拐といえるのではないだろうか。また、多くの女性に手を出す光源氏は、やがて女性達と共に過ごすための屋敷を用意させる。広大な敷地と美しい庭を持つ屋敷は、まさに夢のような御殿である。権力のある貴族男性が、このように潔くやりたい放題しているのだ。しかしそんな光源氏は、女性達、特に誘拐した少女・紫の上には優しく、丁寧に接している。やりたい放題だが女性への配慮は欠かさない、光源氏の男性としての魅力が、作品を彩っている。
 その一方で、光源氏だけではなく、彼を取り巻く女性達の魅力をも描いているのが、この作品の特徴だ。光源氏を愛しすぎて正妻に嫉妬し、生霊をとばして正妻を殺してしまう六条御息所という女性がいる。現代の漫画世代の自分には、彼女がそのまま本物の物の怪になってしまい、成敗されるのだろうと、先が読めた気がした。しかし生霊と噂されていることを知った彼女は、自己嫌悪に陥り、光源氏と縁を切ることで理性を保つのだ。「想い」が「世間」と対立してしまうことに苦しみ、押し殺そうとする姿で、人の生の悲哀を描いている。

 個性豊かな二作品だが、私にとっての展開の面白さを有するのは『源氏物語』のほうである。そこで、どのような点で『源氏物語』の面白さが引き立っているのか、二作品を様々な観点から比較して探っていこうと思う。
 まず、語り手の違いが及ぼす地の文の違いからみていく。『涼宮ハルヒ』シリーズでは主人公が語り手を担うが、『源氏物語』では作者が語り手だ。
 物語の進行を主人公が務める『涼宮ハルヒ』シリーズでは、地の文が主人公の一人称で書かれており、主人公の男口調が反映されている。そこから主人公の性格が表れ、読者は主人公に感情移入をしやすくなる。また、物語を主観的な立場から見ることができ、まるで自分が主人公になったかのように物語を味わえる。主人公以外の人物の心情がわからないため、主人公、つまり読者が、その人物の言動からある程度推測することができる。そうして物語を深く楽しむことができるのだ。
 一方、作者が三人称で描く『源氏物語』では、敬語が使われることにより、貴族の上品さが引き立つ。また、物語の進行に関係のない第三者である作者が語るため、全ての人物の心情描写が至る所に挿入されている。主人公一人の視点に偏ることもないので、物語全体の流れを、様々な人物の視点から見ることができることも、一つの面白味だ。
 次に、一人称か三人称かの違いにより変化する、中心人物の語られ方をみていきたい。
『涼宮ハルヒ』シリーズでは、中心人物であるハルヒが主人公ではないため、彼女が語り手ではなく語られる立場にあるということになる。そのため語り手である主人公の視点で彼女を見ることができる。つまり、彼女の言動の奇抜さや突拍子のなさが、より際立つようになるのである。
『源氏物語』の主人公であり、中心人物でもある光源氏は、『涼宮ハルヒ』と同様に語られる立場にある。しかし作者によって語られるこの作品では、キーパーソン光源氏自身の視点から物事が語られることもある。そのため彼の心情描写が加わることになる。また、三人称で書かれているため、光源氏以外の多くの人物にも焦点が当てられる。それにより様々な人物の視点から光源氏を見ることができ、彼の魅力が多くの人物の心情から伝わるようになっている。
 この二作品の大きな違いは、一人称か三人称かであることだ。どちらも登場人物の多い作品だが、そのほとんどの視点から中心人物を捉えることができる『源氏物語』のほうが、より面白さを感じられるのだ。
 作品のテーマもまた、面白いかどうかを判断する要素となる。どちらの作品も、恋愛を含むという点は共通している。
『涼宮ハルヒ』シリーズでは、恋愛はメインテーマになっていない。非日常的な学園ストーリーという設定がメインになっており、そこに恋愛要素が組み込まれることで、物語に深みを与えている。だが、主人公が男で中心人物が女であるため、この二人が恋愛に絡んでくることは容易に想像できてしまう。
 一方、『源氏物語』では、恋愛はメインの要素だ。この作品では、光源氏を巡る恋模様が事細かに描かれており、様々な恋愛の形を見ることができる。また、人間関係が複雑なため、光源氏の恋愛の行く末を想像するのは難しく、先の展開が気になってしまう。
 メインテーマに恋愛を織り交ぜている作品は多い。そしてどれも、読者が楽しめるように工夫が施されているだろう。『涼宮ハルヒ』シリーズは、そのような作品の一つにすぎない。しかし『源氏物語』は、テーマを恋愛一つに絞っている。恋愛という一つの要素を、多くの人物によって多くの観点から捉えさせることで、多くのエピソードが生まれる。そしてそれらが連なって、一つの恋愛物語として完成しているのだ。
「三人称により、ほとんどの人物の視点から中心人物を捉える」「テーマを一つに絞り、それを様々な角度から眺める」という点において、『源氏物語』はやはり、日本を代表する物語文学の最高峰といえるだろう。

 では、私がこのような物語を面白いと感じるのはなぜなのだろうか。
 様々な人物の心情から中心人物を見ることができる作品は、登場人物と中心人物の関係をより深く捉えられ、物語をより深く理解することができる。それは物語をより深く楽しむことに繋がる。だから面白いと感じるのだ。
 また、一つに絞られたテーマを様々な観点から捉えた物語に触れると、そのテーマに対しての多くの考え方を知ることができる。そしてそれを、物事への思考力を広げるための土台とすることができる。小学校高学年の頃から小説を書いている私にとって、思考力が上がれば、創作に生かせるかもしれないのだ。
 しかし、ただ読書をして作品の面白さを堪能しているだけで、思考力が高まっているかどうかはわからない。だから、読書による自分への影響はあまり現れていないかもしれない。登場人物に感化されて行動を起こしたり、自分の生活に生かそうと思ったりしたことは皆無である。また、多少の影響は出ているかもしれないが、読んだ作品の長所を自分の創作に生かそうなどと思ったこともない。私にとっての読書とは人生のスパイスであると言ったものの、本当はただの娯楽であるだけなのかもしれない。
『涼宮ハルヒ』シリーズと『源氏物語』を比べ、後者のほうがどのような点で面白いのか、ということはわかる。しかし『涼宮ハルヒ』シリーズがつまらないということではない。この二作品を比べた場合に、『源氏物語』のほうが面白かったというだけだ。もしかすると、まだ読んだことのないジャンルの作品に、さらに面白いものが見つかる可能性は当然あるのだ。言語の弊害さえなければ、古典文学だけでなく外国の作品にも、面白くて心惹かれるものをたくさん発見することができるだろう。
 面白さを求めて多くの作品に触れることで、自分にとっての読書とはどういうものなのかが、うっすらと見えてくるのではないだろうか。またそれに伴って、これまで読書が私に与え続けてきた影響を、理解することができるようになるかもしれない。そうなることで、明確な目標を持って読書に取り組むことができるようになるのではないだろうか。
 これからも、読書がどのように自己と関わっているのか、本とどのように向き合うべきなのか、それらを追求するためにも、より多くの物語に触れていきたい。

(終)


 / 4759字(400字詰原稿用紙12.7枚)

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